さとさまの日常

京都のROCK BAR DIRTオーナー、さとさまの日々の覚え書きを書き記す。

独断と偏見で選ぶスラッシュメタル名盤・おすすめ盤

・はじめに

2014年になってもスラッシュメタル愛が止まらない佐藤です。

もう辛抱たまらんので、ここで語らせて頂こうと思う。

ここで注意して頂きたいのは、筆者が独断と偏見を全面的に押し出して書くということである。

巷でささやかれている意見とは違うかもしれないがご了承頂こう。


ちなみに筆者には持論があり、ロックバンドというのはファーストアルバムは勢いを楽しむもの、セカンドアルバムは模索を楽しむもの、サードアルバムは個性の確立を楽しむもの、だと考えている。

バンドは3枚作ってナンボだ。

あえて4枚目について言うなら、勝負を楽しむもの、だと思う。



スラッシュメタルとはなんぞや?

バンドに付いて語るよりも、まず始めにスラッシュメタルって何?という疑問にお答えしなければならないだろう。

だってもう流行ったの25年くらい前だし。

スラッシュメタルとは、その名の通りヘヴィメタルの1種である。

従来のヘヴィメタルより過激でテンポが速く、そしてギターサウンドがザクザクしている(=スラッシー)のが特徴。

また、全体的に硬派な内容を扱っており、外見も粗野であることが多い。

スピードとアグレッション、アティテュード、そしてギターリフ。

この4つの要素がスラッシュメタルであると言えよう。


スラッシュメタルをわかってもらえた所で、独断と偏見でスラッシュメタルを語らせて頂く。



・BIG4

スラッシュメタル界のレジェンド4バンドをまるっと纏めてBIG4と呼ぶ。

らしい。

スラッシュメタルの原点にして頂点である。



METALLICA / MASTER OF PUPPETS(1986)




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1.Battery

2.Master Of Puppets

3.The Thing That Should Not Be

4.Welcome Home (Sanitarium)

5.Disposable Heroes

6.Leper Messiah

7.Orion (Insturumental)

8.Damage, Inc.



今や推しも押されぬ大スター、メタリカ

このバンド、実はスラッシュメタルの開祖的存在なのである。

その3rd「MASTER OF PUPPETS」はレジェンド中のレジェンドとして全てのスラッシャーから崇められている。

メタリカがシーンに登場したのは1982年。

翌1983年には1st「KILL'EM ALL」を発表する。

すでに個性や才能の片鱗を見せているこのアルバムは、他のスラッシュバンドと明確に違う点が見受けられる。

それは、パンク/ハードコアの影響が比較的少ないということ。

ラーズ・ウルリッヒ曰く、「自分達は他のバンドとは全く違う。俺達はイギリスのバンドから影響を受けている。MOTORHEADとDIAMONDHEAD、2つのヘッドを合わせたのが俺たちだ」。

その言葉の通り、1st「KILL'EM ALL」はNWOBHMの亜流のようなサウンドに留まっている。

メタリカがその個性を発揮しだすのは2nd「RIDE THE LIGHTNING」(1984)から。

サウンドは一気に先鋭化し、例えるなら1stが過激なハードロック、2ndは過激なヘヴィメタル

他のバンドに比べてやたら曲が長いという特徴もこのアルバムから感じることが出来るだろう。

そして、2ndの方向性を推し進め、満を持して発表されたのが今回激推しさせて頂く3rd「MASTER OF PUPPETS」(1986)である。

構成力に磨きがかかり、メロディはより多彩になった。

サウンドもソリッドになり、スピード感やアグレッションも申し分ない。

全てのリフが研ぎすまされ、長尺の曲もダレることなく聴ききれる。

当時スラッシュメタルはメタル好きにおいても毛嫌いされるような扱いであったが、このアルバムはそんな偏見をぶっ飛ばす程のクオリティを持っており、ラジオ等で全くオンエアされなかったにも関わらず全米チャートで29位にランクインしてしまった。

これがなければスラッシュメタルシーン自体なかったかもしれない、それほどのレジェンドっぷりである。

正に必聴盤。


では、その後のメタリカはどうなったのか?について少し触れておきたい。

メタリカを語る場合、避けて通れないのがベーシスト、クリフ・バートンの死だ。

音楽的に重要な役割を担っていたクリフの死がもたらした影響は大きく、クリフのいるメタリカとクリフのいないメタリカは別のバンドとして捉える必要がある、と筆者は考えている。

つまり、4枚目以降のメタリカは別のバンドくらい違うのである。

ベースの音がめっちゃちっさいアルバムとして有名な4th「…AND JUSTICE FOR ALL」(1988)は、シリアスな歌詞世界と硬派なヴィジュアルイメージで一気に全米を制覇、だがクリフなしでは音楽的な限界が見えてしまった。

続く5th「METALLICA」(1991)でやっぱバートン先生いないとダメっすわ、とプロデューサーのボブ・ロックに助力を願い、音楽的に変化を見せる。

グルーヴ重視で歌の比重を増したそのサウンドはバカ受けし、天文学的なセールスを記録している。

以降はレジェンド街道まっしぐら、である。

筆者は個人的には90年代後半のメタリカが凄い好きだ。



SLAYER / REIGHN IN BLOOD (1986)



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1.Angel Of Death

2.Piece By Piece

3.Necrophobic

4.Altar Of Sacrifaice

5.Jesus Saves

6.Criminally Insane

7.Reborn

8.Epidemic

9.Postmortem

10.Raining Blood


今やメタル界では帝王として君臨しているスレイヤーも、出身はスラッシュメタル

前述したメタリカよりもハードコアなサウンドを持ち、禍々しいリフが恐ろしいスピードで繰り出されるのが特徴。

1983年、コンピレーションへの参加、そしてフルアルバム「SHOW NO MERCY」でシーンに登場。

扱う内容的にはサタニズム的な危険さからリアリズムの暴虐性へと変化を見せるが、音楽的にこれほどまでにデビュー時から今現在まで全くブレがないバンドも珍しく、既にスラッシュメタルの持つスピード感やブルータリティを体現している。

1985年には2nd「HELL AWAITS」を発表。

サウンドやプレイに磨きがかかっている他、曲の構成も複雑になっている。

扱う内容の危険さは更に激しくなっており、よりアグレッシブに、ブルータルにとバンド全体が指向しているのがわかる。

そして、スレイヤーを帝王と呼ばれる程の地位へと押上げ、後発のエクストリームミュージックに多大な影響を与えたアルバムが、1986年発表の「REIGHN IN BLOOD」である。

このアルバム、とにかく速い曲しか入っていない。

10曲あって30分ない。

大量の高速リフと独特のボーカルスタイル、狂ったようなギターソロ。

筆者が特に力説したいのは、デイヴ・ロンバートのドラムプレイ。

手数の多いそのスタイルはフィルイン全てがカッコ良い。

この手のバンドはとにかく速さを求められがちだが、デイヴのプレイにはしっかりグルーヴがあり、聴いていて非常に気持ちが良い。

歌詞には現実的な部分も見え始め、倒錯した世界観だけでなく、冷徹な目線から放たれる過激な言葉は、キリスト教に馴染みのない日本人にとって1stや2ndよりも残虐に聴こえるだろう。

サウンドプロダクションも劇的に向上。

スピードとアグレッション、アティテュード、そしてリフ。

全てが揃ったスラッシュメタルを代表する1枚。


このアルバムを気に入ったら、4th「SOUTH OF HEAVEN」(1988)、5th「SEASONS IN THE ABYSS」(1990)もぜひ聴いて頂きたい。

「SOUTH OF HEAVEN」は個人的にデイヴ・ロンバートの最高傑作。

歌詞もより現実的になっており、構成力も一気に進化した。

強烈なギターリフの洪水、というスタイルは変わらないが、構成がしっかりとしたことでスピード感やアグレッションは増している。

続く「SEASONS IN THE ABYSS」でも同じ路線で、作曲という観点でいえばさらにクオリティが増している。

ドラムが交代した「DIVINE INTERVENTION」(1994)では、新しいドラマーポール・ボスタフのスタイルを使いきれていないフシがあったが、「DIABOLUS IN MUSICA」(1998)では完全復活、こちらもぜひ聴いて欲しい。


その後オリジナルドラマーデイヴ・ロンバートの復帰や脱退、ギタリストのジェフ・ハンネマンの死という悲劇もあったが、バンドは今も現役である。



MEGADETH / SO FAR, SO GOOD…SO WHAT!(1988)



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1.Into The Lungs Of Hell

2.Set The World Afire

3.Anarchy In The U.K.

4.Mary Jane

5.502

6.In My Darkest Hour

7.Liar

8.Hook In Mouth


メタリカのデイヴ・ムステインを中心に結成。

初期はインテレクチュアル・スラッシュと自らのサウンドを形容していた。

スピードやアグレッションで押すのではなく、元メタリカだけあって複雑なリフ/構成のヘヴィメタル寄りのサウンドが特徴。

1990年代に入って歌の比重が高まり売れるパターンはこれまたメタリカと似ている。

1985年、「KILLING IS MY BUSINES…AND BUSINESS IS GOOD!」でシーンに登場。

インテレクチュアル・スラッシュという呼称が浸透しているが、要はリフがかなり複雑である、ということだ。

その複雑さは、ARCH ENEMYのマイケル・アモットをしてもコピー出来なかった程。

速く複雑なリフが大量に出てくる為、リズムや曲の展開も複雑であり、ある意味狂的である。

メジャーデビューを果たした2nd「PEACE SELLS…BUT WHO'S BUYING?」(1986)ではサウンドプロダクションが一気に向上。

リフワークのキレはここに極まったと言っても過言ではなく、このアルバムを最高傑作とする声も多い。

しかし、あえて言いたい。

その後のメガデスにおいて最強の武器となる、憂いを帯びたメロディがまだこのアルバムにはないのである。

なので筆者は3rd「SO FAR, SO GOOD…SO WHAT!」を推したい。

リフは相変わらずキレッキレであり、そこに独特の憂いを帯びたメロディが乗るようになった。

サウンドも聴きやすくなっており、売れ線に走ったという見方も出来るが、後のメガデスの流れを見ればこのアルバムでスタイルが確立されたと見るべきだろう。

構成が複雑な割に曲はコンパクトに纏まっており、アレンジメントに相当気を使っているのではないだろうか。


続く4th「RUST IN PEACE」(1990)ではマーティ・フリードマンニック・メンザが加入し、以後10年に渡り続くラインナップとなる。

サウンドはかなりソリッドなものになり、タイトになった。

リフは変わらず複雑であるが、ストレートな作風になりスラッシュメタルからは遠ざかっている。

このアルバムもかなりの完成度を誇っており、最高傑作とする声も多い。

5th「COUNTDOWN TO EXTINCTION」(1992)以降スタイルがガラッとかわる。

さらにソリッドに、よりストレートなサウンドになり、複雑さは影を潜める。

この変化が、商業的に大成功。

キレのあるドラムと、クールなリフ、そして歌が中心になり、スラッシュメタルではなくなったがヘヴィメタル界に燦然と輝く名盤である。


その後も活動休止やメンバーチェンジを繰り返してはいるが、今なお現役。


デイヴ・ムステインの立ち姿が筆舌に尽くしがたいカッコ良さであり、筆者も強烈な影響を受けている。



ANTHRAX / AMONG THE LIVING (1987)



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1.Among The Living

2.Caught In A Mosh

3.I Am The Law

4.Efilnikufeasin (N.F.L.)

5.A Skeleton In The Closet

6.Indians

7.One World

8.A.D.I. / Horror Of It All

9.Imitation Of Life


ニューヨーク出身のアンスラックスは、初期の頃から他ジャンルとのクロスオーバー感と、歌えるボーカリストがいることが特徴。

1984年「FISTFUL OF METAL」でデビュー。

正統的なメタルの要素と、ハードコア特有の速いリズムが既にある。

ただ、この頃はまだRAVEN等のバンドのフォロワーといった感が強い。

翌1985年、ボーカリストがジョーイ・ベラドナに交代して発表した「SPREDING THE DISEASE」でその個性は一気に確立される。

独特のリフワークやメロディライン、そして激烈なリズム。

メタルとハードコアの両方の文化を持ち込んだ音楽性になった。

メタル寄りの人はこのアルバムを最高傑作とする人も多いし、筆者も次のアルバムと甲乙付けがたい出来だと思う。

問題があるとすればサウンドプロダクションとパーツパーツの繋がりがまだ荒いところか。

メタルとハードコアを癒合したハイブリッドなサウンドは1987年に発表した「AMONG THE LIVING」でトドメを刺す。

サウンドプロダクションが向上し、さらに個性的になったリフワーク、扇情的なメロディライン、モッシュさせることを意識したリズムパターン等、ライヴを重ねたことで得たフィードバックも見える。

音が良くなったことで、チャーリー・ベナンテのドラムプレイが更に際立つようになった。

ドラムの速さと正確さで言えばBIG4随一だと思う。

リズムの鋭さはリズムギターのスコット・イアンとベースのフランク・ベロのリフワークによるところも大きい。

パンキッシュなリズムを持つフランクが引っぱり、スコットがザクザクと切り込んでくるリズムは非常に気持ちが良い。

キラーリフも満載である。

また、ボーカルのジョーイがインディアンの血を引いていることからか、インディアンのリズムを取り入れた曲があったりと、音楽性は広がりを見せている。

正統派メタルファンやハードコア畑の人にもぜひ聴いて欲しい名盤である。


この後アンスラックスは「STATE OF EUPHORIA」(1988)、「PERSISTENCE OF TIME」(1990)とコンスタントに活動するが、この2枚に関して言えばアルバムを代表する曲がカヴァー曲であるあたりでお察しください。

ただ、この間もラップをやってみたり、ファンクをやってみたりと音楽性はさらに拡散し、スラッシュメタルの範疇に留まらなくなっている。

1991年にはヒップホップグループのPUBLIC ENEMYとコラボレーションした“Bring The Noise“を発表。

メタル系のリフにヒップホップのリズムを持つこの曲が、アンスラックスをクロスオーバー系バンドのパイオニアと呼ぶ所以である。


その後ボーカルの交代を経てバンドはグルーヴメタルへと一気に接近する。

この時期のアルバムも完成度は高く、聴いてみる価値はあると思う。



・第2世代以降

上記の4バンドをスラッシュ第1世代、これ以降にデビューしたバンドを第2世代と呼ぶ。

第2世代以降も独断と偏見でざっくり紹介していきたい。

はっきり言ってここからはかなりのB級グルメである。



TESTAMENT / PRACTICE WHAT YOU PREACH (1989)




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1.Practice What You Preach

2.Perilous Nation

3.Envy Life

4.Time Is Coming

5.Blessed In Comtempt

6.Greenhouse Effecy

7.Sins Of Omission

8.The Ballad

9.Nightmare (Come Back To You)

10.Confusion Fusion


個人的第2世代の大本命。

ベイエリアクランチの中心バンド。

このバンドの特徴は、他のスラッシュメタルバンドよりも流麗でドラマティックなギターソロがサウンドの核になっているところ。

1st「THE LEGACY」(1987)、2nd「THE NEW ORDER」(1988)も捨てがたいが、音質に難あり。

なら、多少のボーカルスタイルの違いはあれど、その2枚は2001年の再録アルバム、「FIRST STRIKE STILL DEADLY」で聴いても良いと思うので3rd「PRACTICE WHAT YOU PREACH 」を選びたい。

上記したギターソロはもちろん、クールなリフも満載、リズムも非常に気持ち良い。

メタリカに似てると言われることもあるが、メタリカよりもリズムのキレに重点を置いていると思う。

頭降るならこのバンド、筆者は常々もっと評価されて良いと思っている。

途中ギタリストの交代があったりと多少のスタイルの変化は見られるが、2014年現在もスラッシュメタルをやっている骨太さも魅力。

目下の所の最新作、「DARK ROOTS OF EARTH」(2012)や、ライヴDVD「DARK ROOTS OF THRASH」(2013)も超強力なのでぜひチェックして欲しい。



ANNIHILATOR / SET THE WORLD ON FIRE (1993)



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1.Set The World On Fire

2.No Zone

3,Bets In The Belfry

4.Snake In The Grass

5.Phoenix Rising

6.Knight Jumps Queen

7.Sounds Good To Me

8.The Egde

9.Don't Bother Me

10.Brain Dance


カナダ出身、ギタリストのジェフ・ウォータースを中心に結成。

プログレッシブな要素を含み、変態的とも形容されるサウンドを持つ。

1st「ALICE IN HELL」(1989)、2nd「NEVER, NEVERLAND」(1990)も強力でぜひ聴いて欲しいのだが、ここでは少しオーセンティックなサウンドに近づいた3rd「SET THE WORLD ON FIRE」を推したい。

ドラマーに現DREAM THEATERのマイク・マンジーニを迎えて制作されたこのアルバム、マイクのドラムがサウンドに完全に合っている。

ジェフのギターが上手過ぎるので、これぐらいびっちりやってようやくカッコ良い。

複雑で変拍子なのに、全くそれを感じさせない構成力と演奏のキレは他では得られないカタルシスを感じさせてくれる。

リフがカッコ良すぎて笑えるレベルである。

今も現役であり、全く衰えずに活動中。



KREATOR / COMA OF SOULS (1990)



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1.When The Sun Burns Red

2.Coma Of Souls

3.People Of Lie

4.World Beyond

5.Terror Zone

6.Agents Of Brutality

7.Material World Paranoia

8.Twisted Urges

9.Hidden Dictator

10.Mental Slavery


ジャーマンスラッシュ三羽カラスの一角、クリーター。

ソドム、デストラクションと共に初期はかなり人を選ぶスタイルなのだが、クリーターは3rd「TERRIBLE CERTAINTY」(1987)辺りから演奏と楽曲の質で聴かせるようになってくる。

そのスタイルは4th「EXTREAM AGGRESSION」(1989)で一つの完成を見たと言ってもいいだろう。

スピードとアグレッション、そしてリフ、構成。

スラッシュメタルに求められる要素が詰まっている。

そして、ギタリストが交代して翌1990年に発表した5th「COMA OF SOULS」で

はさらに楽曲のクオリティは向上し、構成やリフワークも更に聴きやすくなった。

新加入のギタリスト、フランク・バックファイア・ゴトツィックのギターソロはメロディアスでオーセンティックなカッコ良さがあり、バンドの新しい武器となっている。

ていうか全体的に演奏が上手くなっている。

書いている時点でわかると思うが、筆者はジャーマン三羽カラスではクリーターが一番好きだ。

この後のクリーターは、グルーヴメタルに接近したり、インダストリアルに寄ってみたりと試行錯誤をするのだが、最近はまたスラッシュに回帰している。



SUICIDAL TENDENCIES / LIGHTS…CAMERA…REVOLUTION!(1990)



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1.You Can't Bring Me Down

2.Lost Again

3.Alone

4.Lovely

5.Give It Revolution

6.Get Whacked

7.Send Me Your Money

8.Emotion No.13

9.Disco's Out, Muder's In

10.Go'n Breakdown


ハードコア側からメタルに接近してきたタイプのスラッシュメタルバンド。

ギャングのようなスケーターファッションとクロスオーバーサウンドは独特の個性があり、メタルとハードコアの敷居を低くしたと思う。

2nd「JOIN THE ARMY」(1987)辺りからスラッシュメタル色が強くなり、4th「COTROLLED BY HARTED / FEEL LIKE SHIT…Deja Vu」(1989)から現メタリカのロバート・トゥルージロが加入し、ファンク色も出て来ている。

この5th「LIGHTS…CAMERA…REVOLUTION!」はメタルとハードコアの間というスラッシュ色の強さと、バラエティの豊かさが同居したアルバム。

ハードコア特有の突進力に、メタリックなギターが見事に融合している。

また、このアルバムでもロバートの持ち込んだファンク色の強い曲があり、アルバムの中で上手く作用している。

マイク・ミューアの歌にも独特のリズムがあり、アグレッションの一翼を担っている。

次作「THE ART OF REBELLION」(1992)でさらに音楽性は広がりを見せる。

この辺りがスイサイダルの絶頂期か。

メタル系のサイトでスラッシュ名盤、とかやっても中々名前の上がらないこのバンドだが、筆者はスラッシュ好きなら一度は聴いて欲しいと思う。

今年のサマソニに出演する予定であるが、ビザの問題は解決したのだろうか。



SEPULTURA / ARISE (1991)



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1.Arise

2.Dead Embryonic Cells

3.Murder

5.Subtraction

6.Altered State

7.Under Siege (Regnum Irae)

8.Meaningless Movements

9.Infected Voice


ブラジル出身。

今では民族音楽を取り入れたトライバルメタルの始祖として名高い彼らだが、一時期は完全にスラッシュメタルだった。

1st「MORBID VISIONS」(1986)ではデス/ブラックな要素も強いサウンドだが、ギタリストがアンドレアス・キッサーに交代した2nd「SCHIZOPHRENIA」から音が良くなったこともありスラッシュ色が強くなる。

続く3rd「BENEATH THE REMAINS」(1989)でサウンドプロダクションは劇的に向上。

このアルバムも強力で、どちらを推すか非常に迷ったが、やはりここはより個性的なリズムが聴けるようになった4th「ARISE」を推したい。

このアルバムも、とにかく速い。

過去3枚に比べスピード感が増している。

ノリがかなり前ノリで、その分ドラムが付いて行っていない所もあるが、そういう荒さもアグレッションに一役買っている。

リフワークは複雑だが、リズムが常に攻めているのでハードコアな突進力がある。

リフに次ぐリフで押すそのスタイルは、スレイヤー直系のサウンドで、クールなリフが目白押しである。

ブラジルのバンドと侮るなかれ。

次作「CHAOS A.D.」ではブラジルの民族的なリズムを取り入れたことでグルーヴメタル的要素が入ってくるが、こちらも超強力。

この辺りまではギリギリスラッシュメタルの範疇でいいのではないかと思うが意見の別れるところか。

その後はご存知の通りトライバルなメタルバンドとしてシーンに君臨している。



・最後に

余りにも書きたいバンドが多すぎたので相当数を絞り込んだ。

あちらを立てればこちらが立たず、で有名なバンドもばっさり切ってしまっていることは申し訳なく思う。

ここからはオールドスラッシャー向けに、その後のメタルにもスラッシャーが楽しめるバンドを少し紹介して締めくくりたいと思う。

ぜひチェックして頂きたい。



FEAR FACTORY / DEMANUFACTUR (1995)



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オールドスラッシャーがスルーしてそうな所、となると必然的に90年代に日本でラウドロックと呼ばれた音楽ではないか。

このフィアーファクトリーはインダストリアルメタルに分類されるバンドで、恐怖工場の名前通り、バチバチにエディットされた正確無比なリズムが売りのバンドである。

ソロは殆どなく、リフに次ぐリフ。

普通ここまで正確なリズムを作ると逆にこじんまりした印象になるのだが、強烈な個性とアグレッションやスピード感がある。



MACHINE HEAD / BURN MY EYES (1994)



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マシーンヘッドのデビュー作。

1992年、元FORBIDDEN~Vio-lenceのロブ・フリンを中心に結成。

グルーヴメタルの要素もありつつ、スラッシュ出身らしいアグレッションがある。

後にラップしてみたりと音楽的な模索が続くが、この時期は一貫してメタルである。

90年代後半の彼らが余り好きでなくとも、一度チャレンジして欲しい。



SLIPKNOT / IOWA (2001)



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超有名なバンドなので今更語るま
でもないが、ハードコア色の強かった1st「SLIPKNOT」から、この2nd「IOWA」ではメタル色がかなり強まっている。

リフがしっかりあることや、歌もメロディらしい部分が多くなり、オールドスラッシャーにも聴きやすいと思われる。

スピードとアグレッション、そしてリフ、スラッシュメタルと同じではなかろうか。

もしこれがダメでもよりオーセンティックなメタルに近づいた4th「ALL HOPE IS GONE」は試す価値あり。

楽曲のクオリティが上がり、歌が普通に上手くなっている。




KILLSWITH ENGAGE / ALIVE OR JUST BREATHING (2002)



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アメリカ出身のメタルコアバンド、その2作目。

スラッッシャー垂涎のリフが沢山詰まったこのアルバム、ぜひ聴いて欲しい。

1st「KILLSWITH ENGAGE」も良いが、こちらの方が全体的にクオリティが高い。

ボーカルが交代した3rd「THE END OF HEARTACHE」も評価が高いが、筆者は暖かみのあるハワード・ジョーンズよりもヒステリックなジェシーリーチの方が好みである。

ギタリストが何やら陽気なので、何となく怒られているのが多い印象。



AVENGED SEVENFOLD / CITY OF EVIL (2005)



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こちらも今や超有名になっているバンド。

このアルバムは3枚目に当たり、日本デビュー作である。

出て来た時の衝撃は中々大きく、パワーメタルじゃねーか!とメタル好きは思ったものだ。

ハロウィン的なギターワークが印象的だが、聴けるのはこのアルバムだけだ。

この後モダンなリフやリズムワークが主体となり、よりヘヴィな印象になる。

次作「AVENGED SEVENFOLD」もかなり強力。

メロディが結構しっかりあるので、聴きやすいと思われる。


この辺りを足がかりに、オールドスラッシャー諸子にはメタル愛を深めて頂きたい。






おれがやってるバンド、PSYCHO kui METALLICSのライヴの予定です。

このブログは趣味に走りすぎていて何をやっている人かまったく解らない、と言われましたので。

4/8 京都SILVERWINGS
4/23 京橋ism
5/3 新宿Live Freak
6/8 京都MOJO(ツアーファイナル)

10周年に合わせて、新しいアルバム発売しました!

買ってねー!

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詳細はオフィシャルホームページまで!