さとさまの日常

京都のROCK BAR DIRTオーナー、さとさまの日々の覚え書きを書き記す。

レベルを下げる、ということの難易度

表現者なら必ずぶつかる問題、わからないひとにどうわかってもらうのか問題。

わかるひとにだけわかればいい、は表現者として失格なのだ。

何の為に表現するかと言えば、それは他人に伝える為だからだ。

そうでなければわざわざ自分の中にあるものを表現する必要ない。

よって表現をやる者はずっとこの問題に頭を悩ませることになる。



先日、岡田斗司夫さんがハルヒの批評をしている中で、わかるひとにだけわかればいいは、制作者の甘え、と言っていた。

ただ、ここにはターゲットを限定していない、という部分がある。

限定されたターゲットを狙う場合、ある程度の事はすっとばせる。

ハルヒはアニメであり、幅広い年齢層をターゲットにしているから、こういう発言になるのだと思う。



ハードSFやるなら、質量保存の法則くらいは知っていなくてはならないし、その辺りをわざわざ説明されてもうざったいだけだろう。

ルールを知らない人が競技に参加出来ないのと同じである。

よって自分の場合、ターゲッティングを限定することで比較的自由な表現をしている。



しかし最近、この問題に頭を悩ませているのである。



実は少し前から、伝統芸能を若い人や興味のない人に向けてライトにやれないか、という企画に噛ませてもらっている。

京都なのでそういうテイストのモノは多いのだが、そこからもう一歩踏み込んで芸術に興味を持ってもらえないか、という主旨の企画である。

とりあえず発起人が華道家なので、華道を軸に何か出来ないか考えているのだが、これがまた難しい。



華道は、すでに道として確立された芸術であり、作法や様式は洗練されている。

ルールがあるからスポーツは面白いように、華道には華道のルールがあり、それを理解することで深い感動がある。

その発祥は仏教における花であり、さらに遡れば自然崇拝的なところから始まる。

太陽や水を意味する陰陽や、アシンメトリーな造形美。

四季の概念と場所の概念。

さらには生きた植物を扱う難しさ、不揃いな植物を適時配置していくセンス。

「生きている」植物が放つ存在感。

それらはもちろん、西洋のフラワーアレンジメントとは違ったものだ。



自分は素人の立ち位置からこれらの部分に切り込みたいのだが、いかんせん表現者の側の人間である。

それらの要素が既に、難しい、らしいのだ。

正直な話、ある程度の知的好奇心や芸術への興味があれば十分楽しめるのではないかと考えているのだが、今回のターゲットはそもそも生活の中に芸術が入り込んでいない普通の人なのだ。

打ち合わせをある程度やって、企画を違う友人に聞いてもらったのだが、そこで言われたのが「レベルを下げた方が良い」だったのだ。



例えばだが、青年誌で漫画を書くこととコロコロコミックで漫画を書くことの難易度は、その種類こそ違えど根本的に変わらないと思う。

今回の件は、ある意味青年誌の漫画を小学生がおもしろく感じるようにアレンジしよう、ということと同じだと思っている。

それがとても感覚的であることはわかってもらえるだろうか。



単純に、使う言葉を簡単にしたり、説明を増やすのではレベルが下がる訳ではないと思う。

その面白さを、より直感的なものであったり、深い部分を浅いところまで露出させなければならない。

その方法や、方向性が掴めないのだ。

さて、どうしたものか。



ありとあらゆる表現者の中で、ツカミを上手くこなせる人は間違いなく優れていると思う。

第1話がおもしろくないお話は、やはり興味を持ってもらいにくい。

第1印象のインパクトは大きい。




だけれども、それしかないのもまた無意味だ。

むしろ、ありとあらゆる表現者が自分でつくった第1印象というインパクトに振り回されているのではないか。



結局、その人固有の個性で、よくわからないが最後まで見てしまった、そうなるようなものに仕上げるのが妥当ではないかと、考えている。

……これって結局、サイコキと同じアプローチなんだよなぁ。

まだ少し時間があるので、いくつかアイディアを出してみたいと思います。








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